第112章

薄井宴は俯いて書類を処理しており、顔も上げずに「ん」とだけ応じた。

周の口元が二度ほどひきつる。「あの、もう何晩も圭人様に付き添っていませんよね」

「圭人がどうかしたのか?」薄井宴は顔を上げ、険しい表情になった。

周は慌てて言った。

「圭人様はご無事です。ただ、社長がこれほど長く家に帰らず、圭人様に付き添わないと、圭人様がご機嫌を損ねるのではないかと思いまして」

薄井宴は再び視線を落とした。「あいつはそんなことはない」

周は頭を抱える。「宴のアニキ、そろそろ休みましょう。そんなに無理を続けたら、体を壊しますよ」

薄井宴は周に視線を向け、不機嫌そうに言った。

「...

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