第115章

津上の雨が止み、空に虹がかかった。

道行く人々は次々とスマートフォンを取り出して写真を撮り始める。

「ほら見て、虹だ。すごく綺麗」

周は感慨深げに言った。

「藤堂さんが圭人を気にかけてくれたから、神様も感動して、お祝いに虹を出してくれたんですよ。藤堂さんと圭人は本当に縁があるんですね。神様が見てらっしゃいますよ」

薄井宴は虹を一瞥したが、何も答えなかった。

藤堂光瑠と圭人に縁があるのかどうかは知らない。ただ、この瞬間の自分の気分が良いことだけは分かっていた。

ここ数日の憂鬱が吹き飛び、空はどこまでも晴れ渡っている。

彼もスマートフォンを取り出して一枚写真を撮った。...

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