第185章

藤堂光瑠は意味深な眼差しで彼を見た。「ええ、犬よ。それも狂犬」

薄井宴の顔が険しくなる。「狂犬病ワクチンは打ったのか?!」

藤堂光瑠はきょとんとした。「え? 狂犬病ワクチンを打つって、何のために?」

薄井宴は顔を顰めた。「狂犬に噛まれて、狂犬病ワクチンを打たないだと?!」

「わ、私が狂犬って言ったからって、本当に狂ってるわけじゃないわよ。ただ、凶暴だったってだけ!」

「凶暴で、よく生きていられたな」

藤堂光瑠は呆れた。「私が噛み殺されるのを望んでるの? 私が死んで、あなたに何の得があるって言うのよ?!」

薄井宴の顔がさらに暗くなる。「いつ噛まれたんだ?」

藤堂光瑠...

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