第275章

薄井宴は煙草を吸っていたが、藤堂光瑠がやって来るのを見て、無意識のうちに手にした煙草を揉み消そうとした。

 彼は藤堂光瑠が煙草の匂いを嫌っていることを知っていた。

 藤堂光瑠が言った。「吸っていていいのよ。気が滅入っているなら吸いなさい」

 薄井宴は彼女を一瞥したが、やはり煙草を揉み消した。

 四人組『……よし、ここで安物パパに加点だ』

 薄井宴が尋ねた。「誰から俺が不機嫌だと聞いた?」

 「目が見えないわけじゃないわ。顔に『不機嫌』って四文字が書いてあるみたいよ」

 「ただヤニ切れしただけだ」

 ヤニ切れしたのに、揉み消そうと思えばすぐ揉み消せるものだろうか?

 藤堂光瑠...

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