第300章

 一本の煙草を吸い終わらないうちに、薄井宴は落ち着きを失い始めていた。頭の中は藤堂光瑠のことでいっぱいだ。

 今、彼女は何をしているのだろうか?

 俺のせいで怯えてはいないか?

 俺が怒鳴ったせいで、泣いてはいないだろうか?

 今この瞬間、彼女も俺のことを考えてくれているのだろうか?

 考えれば考えるほど、胸が息苦しくなる。

 今日の自分に非があったとは思わない。しかし、今日の自分は少し厳しすぎたのではないかと、思わず反省してしまう。

 彼女はもともと気が小さい。あんなに厳しくすれば、きっと怖がらせてしまったに違いない!

 目を赤くして自分を見つめていた、あの哀れな様子を思い...

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