第303章

北条睦月が口に出かかった言葉を飲み込んだ途端、部屋の中から藤堂光瑠の声が響いた。「北条さん?」

 薄井宴はすぐさま彼にもう一度視線を送り、無理やり口を開かせた。

 北条睦月は心底呆れていた。一体これは何の茶番なのだ?

 彼は唇を引き結び、藤堂光瑠に応えた。「……藤堂さん、私です」

 北条睦月の声を聞いて、藤堂光瑠はようやく薄井宴が嘘をついていなかったと確信した。

「少し待っていてください。着替えたらすぐに出ますから」

「はい」

 北条睦月が返事をした途端、薄井宴は彼を引っ張って外へ向かい、ドアの外へと突き出した。

「お前の用はもうない。部屋に戻って寝ろ。それと、俺が言ったこと...

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