第317章

 薄井宴はその言葉に、眉をひそめた。

 怒りがこみ上げてきたが、何かを思い出したのか、その激情を腹の底に飲み込み、黙って煙草をふかすだけだった。

 加賀景城はすでに答えを察しており、心の中でため息をつく。

 やはり、恋愛の世界では、先に惚れた方が負けなのだ!

 先に心を動かされた方が、最も卑屈になり、最も傷つきやすい!

 薄井宴が先に心を奪われたからこそ、こうしてしょっちゅう不機嫌になるのだ。

 加賀景城はそれ以上何も言わず、彼に付き合って煙草を吸った。

 彼が十分に落ち着いたと感じた頃合いを見計らって、ようやく尋ねた。「酒でも開けるか?」

 薄井宴は冷たい顔で煙草の灰を弾き...

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