第331章

薄井宴は彼女自身の花屋から持ってきたと言いたかったが、プレゼントしたその花屋のことを彼女はまだ知らないと思い出し、口ごもった。

 彼女に贈った花屋も、薄井昌山から譲り受けた2%の株も、彼はまだ彼女に打ち明けられずにいた。

 不思議そうな顔で自分を見つめる彼女に、薄井宴は軽く咳払いをして喉を潤した。

「イケメンだから、タダだ」

 藤堂光瑠が呆れていると、薄井宴はすぐさま言葉を続けた。

「休んでていい。今夜は俺が作る。夕飯ができたら呼ぶから」

 彼は上着を脱いで玄関に掛け、スリッパに履き替えると、食材がぎっしり詰まった大きな袋を提げてキッチンに入っていった。

 夏川甘が今夜帰ってこ...

ログインして続きを読む