第332章

薄井宴と藤堂光瑠は二人とも、はっとした。「!」

 薄井宴は今、内心燃え盛るような思いを抱いてはいたが、さすがに泊めてもらうなどという考えには至らなかった。彼は藤堂光瑠の方を向き、彼女の采配を待つ……。

 藤堂光瑠は数秒間呆然とした後、慌てて断った。

「だめだめ、ベッドが小さすぎるわ。みんなでぎゅうぎゅう詰めじゃ、よく眠れないでしょ。彼には家に帰って寝てもらうの」

 そう言うと、彼女はすぐさま薄井宴に視線を戻した。彼の熱い眼差しに焼かれ、思わず目を逸らしてしまう。意を決して、彼女は言った。

「子供たちはもう寝る時間よ。あなたも早く帰りなさい」

 薄井宴は「……」と黙り込む。分かって...

ログインして続きを読む