第336章

薄井宴は彼女を見つめて言った。

「君の気が済んだのなら、落ち着いて話をしないか?」

藤堂光瑠は「先に怒り出したのはあなたのほうじゃない!」とぶつぶつ呟いた。

「だから謝っただろう。さっきは俺が短気すぎた、態度も悪かった。ただ、君たちが一緒にいるのを見てカッとなったんだ。あいつには近づくなと、あれほど言ったのに」

「私だって説明したわ! 下に降りたら偶然会っただけだって。信じてくれないのはあなたのほうじゃない!」

薄井宴の唇がわずかに動く。「正直に答えてくれ。君は、巌谷研一が好きなのか?」

藤堂光瑠は呆れて、何か言い返そうとした。しかし、彼の真剣な表情を見て、喉まで出かかった言葉を...

ログインして続きを読む