第341章

薄井宴が巌谷研一の家から引きずり出されたのは、圭人のおかげだった。

 圭人は彼が自制心を失い、何か理不尽なことをして自分自身に影響を及ぼすのではないかと心配で、様子を見に来たのだ。

 二人が殴り合いの喧嘩をしていたのは、予想通りだった。

 ただ……。

「パパ、大丈夫?」

 圭人は廊下に立ち、小さな顔を上げて薄井宴を恐る恐る見上げた。

 パパに何があったのかは分からない。けれど、彼の様子がおかしいこと、気圧が低く、ひどく落ち込んでいることは感じ取れた。

 体に怪我はないものの、その表情はとても苦しそうで、まるで内傷を負ったかのようだ。

 パパがこんな風になるのは、もうずいぶん久...

ログインして続きを読む