第435章

藤堂光瑠は深く息を吸い込んだ。

「巌谷研一本人も、よく分からないんですって。気を失って、目が覚めたら……もう人さらいの手の中だったって」

薄井宴は訝しげに眉を動かす。

「?」

薄井昌山のボディガードは目が利くし、用心深い。死体を片づけるなら、現場を探らないはずがない。

それに、巌谷研一はまだ幼い。プロの監視の目をくぐって、どうやって生き延びた?

「……お姉さんは?」

「分かりません。巌谷研一は、目が覚めてからお姉さんの姿を見てないって。お姉さんがその後どうなったかも、話してませんでした」

薄井宴は数秒、黙ったあとで問いを重ねた。

「それで、なんで薄井家全体を憎む? やったの...

ログインして続きを読む