第436章

翌日、霊渓村。

ここは、巌谷研一が丸10年を費やして築き上げた場所だった。

山を背に、水をたたえ、空気は澄みきっている。どこを切り取っても絵になる――まさに一歩ごとに景色が変わり、目に映るものすべてが一枚の画のような村だ。

敷かれた石の一枚、積まれた瓦の一つ、揺れる草木の一本にいたるまで。いや、この村で暮らす住人たちでさえ、彼が心を砕いて選び抜いたものだった。

霊渓村は、鈴川風月のために作られた。

彼は知っていたのだ。鈴川風月が生前、どんな夢を抱いていたのかを。

だから村には、彼女が愛した花や草があふれている。道端にも庭先にも、視線を向ければそこにある。

建物の意匠もまた同じだ...

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