第437章

津上に着いたばかりの巌谷研一に、おばさんから動画が送られてきた。

宝が、わんわん泣いていた。

「パパ、どこ行っちゃったの?」

そう何度も繰り返しながら。

まだ三歳の宝は、まるで生後三か月のころに戻ったみたいだった。食べない、飲まない、眠らない。ただ小さな口を開けて、ひたすら声を上げて泣く。

透き通った涙が、切れた真珠の糸みたいに、白くやわらかな頬をぽろぽろと伝って落ちていく。

それを見た瞬間――巌谷研一の心は、あっさり陥落した。

宝が家で泣いている。

その一方で自分は、人目もはばからずその場で涙をこぼしていた。

そして即座に帰りの切符を買った。

来た道を、そのまま引き返し...

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