第117話童貞をあなたに贈ってよかった

ブレアはびくりと身をすくめ、シーツを胸元まで引き上げて体を隠した。その瞳には涙が溢れている。

俺は必死に記憶をたぐり寄せた。家族の面会日のパーティーに出席するため、この治療センターへ空路でやって来たこと。ブレアが何かフルーツジュースのようなものを勧めてきたこと。彼女がボトルからそれを注ぎ、自分で一口飲むのを見たことまでは覚えている。だがそれ以降、意識はぷっつりと途絶えていた。

俺は彼女の肩を掴み、激しく揺さぶった。「ブレア! 一体何があったのか説明しろ!」

彼女は視線を落とし、震える声で答えた。「カエラン、昨日の夜……私たち、体を重ねたの。急なことだったのは分かってる、でも私……」

彼...

ログインして続きを読む