チャプター 189: ウェディング

彼女はカエランの目の前で急ブレーキをかけて立ち止まった。彼はちょうど庭園の入り口近くで、カフスボタンを直しているところだった。彼女は頭を後ろに傾けて彼を見上げると、愛らしい真剣さを湛えて尋ねた。

「カエラン、お姉ちゃんが女王様になったら、これからは『陛下』って呼ばなきゃダメ? それとも今まで通り『セーブル女王』?」

カエランは彼女の目線の高さに合わせてしゃがみ込むと、その表情を完全に和らげた。

「彼女はずっと君の『セーブル』だよ、デイジー」

デイジーは考え込むように頷いたが、突然ひらめいたように目を輝かせた。

「待って! ってことは、あたしは今からお姫様ってこと? だって女王様の妹だ...

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