第196章:本当の私

彼はわざとらしく咳払いをした。「ロドリゴがイザベラたちを戦いに連れて行って、それから……そこで彼女は毒を盛られたんだ」

私の目は興味に輝いた。「そんな詳しい話、初めて聞いたわ」

「そうか? 俺……前に話したと思ってたけど」

カエランは膝の上で指をせわしなく叩き始めたが、突然動きを止めて私を見た。「もう遅い。寝たほうがいいよ、サビ」

「カエラン、おかしいと思わない?」

「何が?」

「父さんが、あの日のことをほとんど知らないなんて」

彼の指が完全に止まり、固く拳を握りしめた。「戦場は混乱しているものだ。よくあることだよ」

「でも二人は一緒に行ったのよ……どうして母さんが傷つけられた...

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