第37章:彼女は私を呼んでいる

『ホテルに戻って』エズメがせき立てた。『彼は待ってるわ。私たちの面倒を見てくれる』

無理よ。

『どうして? 彼は私たちを欲しがってる。私たちも彼が欲しい。当然のことじゃない!』

だって、こんな状態で彼に会ったら、完全に理性を失ってしまう。私は燃えるような頬に手のひらを押し当てた。盛りのついたオメガみたいに、必死になって彼に飛びついてしまうわ。

ガソリンスタンドは無人だった。よかった、神に感謝しないと。

症状は悪化している。服の繊維一本一本が、まるで紙やすりのように感じる。革のシートが背中に熱すぎる。エアコンでさえ、体内で燃え盛る火を冷ますことはできなかった。

ここから離れなきゃ。彼...

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