第42章:彼の後悔

一時間後、私はベッドから起き上がった。荷解きをして、この鬱屈した気分を無理やり振り払おうと決意したのだ。一つずつ荷物を取り出しては整理していく。そして、奥に押し込まれていたショッピングバッグを見つけた。

『そうだった。カエランの時計だ』

私は小さなベルベットの箱を取り出した。

胸のつかえが少し取れた気がした。突然、他のことなどどうでもよくなった。ただこの家を出て、心から私を大切に思ってくれる人たちのそばに行きたい。それだけだった。

私はスマホを掴むと、メッセージを打ち込んだ。

「今どこ?」

カエランからの返信はすぐに来た。

「帰ったところだ。もう俺が恋しくなったか?」

「夢でも...

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