第87章:婚約記念日

第一章 - セーブル視点

今日がついにその日だ。私の婚約の日。

父は、婚約の儀式の準備のためにクロフォード邸に戻るよう強く主張した。娘がこれほど重要な儀式に臨む前には、実家で身支度を整えるのがパック(群れ)の伝統なのだそうだ。

私は夜明けから起きていたが、胃の中は緊張と興奮がない交ぜになっていて、朝食なんてとても喉を通らなかった。儀式は今夜、ブラックウッド領の森にある開けた場所で行われることになっている。そこは湖の近くにある聖なる場所で、何世代にもわたるライカンの王族たちが月光の下で誓いを交わしてきた場所だ。

私は一日中、クロフォード邸で準備に追われていた。エレナ・ミラノのチームが早朝...

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