第94話離婚したい

セーブルは頷き、ゆっくりと椅子から立ち上がった。

「それじゃあ、また後でね」

ドアに手をかけたところで彼女は立ち止まり、振り返って小さく微笑んでみせた。

ドアが閉まると、俺は母の方に向き直った。

「彼女に対して失礼だよ」

キャサリンは完璧な形の眉を上げた。

「失礼ですって? 私は礼儀正しく振る舞っていたわ」

「まるで彼女が部屋にいないかのような態度だったじゃないか」

「カエラン、私はあなたの体のことを心配しているの。社交辞令なんてどうでもいいわ」

キャサリンの声には、いかなる反論も不合理だと決めつける響きがあった。

「大事なのは、あなたが無事だということよ」

「大事なのは、母さんが...

ログインして続きを読む