第19章 母との口論

荘園の広間。

荻原和夏の背後から、冴島零が姿を現した。顔色は冴えず、機嫌の悪さを隠しもしない。

冴島羽美はその姿を見た瞬間、ぱっと表情を明るくし、胸の内の焦りを塗りつぶすように駆け寄った。

そのまま手を取ろうとして――はっと何かを思い出したのか、伸ばしかけた指先を引っ込める。代わりに、鋭く荻原和夏を指さした。

「冴島零! この女よ。この女が不貞を働いたの。昨夜、見知らぬ男とホテルで寝た! 結婚を裏切るような女を、うちの家に置いておけるわけがないわ」

荻原和夏は白けたように白目をむき、腕を組んで冷笑した。

何も言わない。ただ静かな視線で冴島零を見返す。

言うべきことは言った。これ...

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