第20章 これ以上追及しない

冴島零は荻原和夏を連れ、冴島家の荘園を後にした。

車が走り出してからというもの、荻原和夏はどこか落ち着かない様子で、冴島零をじっと見つめては上から下まで値踏みするように眺めてくる。しかも、その視線には「信じられない」とでも言いたげな色が混じっていた。

「なに見てるんだ? さっきの俺、君の心臓に直撃した?」

冴島零は口元に笑みを浮かべる。笑うと春の日差しみたいに柔らかい。温かいのに、眩しすぎない。

荻原和夏はばつが悪そうに顔をそむけ、窓の外の景色を見ているふりをした。

「……本当に、お母さまと決裂したの? 私を連れて外で暮らすつもりなの?」

ハンドルを握る冴島零は、淡く笑った。

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