第23章 出会い

部屋に残ったのは、荻原和夏ひとり。ベッドの端に腰掛けたまま、彫像みたいにぴくりとも動けずにいた。

脳裏に焼きついて離れないのは、さっき冴島零が出ていく直前に見せた、あの目。

(……なんだろう。あの視線、妙に寂しそうだった。まさか、ほんとに恋愛経験がないとか? そんなわけないよね)

荻原和夏は、冴島零ほど出来た男が女のひとりも知らないなんて、どうしても信じられなかった。

母が生きていた頃、荻原家は冴島家ほどではないにせよ裕福な部類だった。いわゆる同じ界隈で、彼女は嫌というほど見てきたのだ。

金持ちの二世がわざと貧乏人を装って女の子に近づいたり、妙な手口で口説き落としては、仲間内で武勇...

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