第36章 恥知らず

レストランのスタッフは、思わず一歩さがった。さっき荻原和夏が口にした言葉は、挑発そのものだったからだ。

(俺があんなふうに言われたら……殴っててもおかしくないな)

スタッフは内心でそう想像する。

実際、荻原美菜も殴りたい気持ちは山ほどあった。だが葛城耀の前で少しでも「いい子」の印象を残すため、彼女は徹底して猫をかぶる。

「お姉ちゃんって、ほんと冗談が好きなんだから!」

荻原美菜は満面の笑みを作り、するりと近づいて荻原和夏の腕に抱きついた。仲のいい姉妹を演じるために。

荻原和夏は眉をひそめ、腕を引き抜こうとする。だが、思った以上にきつい。力を入れないと外れそうにない。

そのまま荻...

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