第37章 いたずら

原村美保子は、荻原和夏の向かい側に置かれた食器に、明らかに使用した痕があるのを見つけた。さらにテーブルの脇には車のキー。形状からして、どう見ても男物の車のキーだ。

「……」

美保子に促され、荻原征佑もそのキーに気づく。顔色はみるみる暗く沈み、指先で荻原和夏の鼻先を差して怒鳴りつけた。

「お前、俺に何て約束した? それなのに、まだ他の男と飯なんか食ってやがるのか! 冴島奥様からまた電話が来るのはごめんだ!」

荻原和夏は白けたように目をそらし、ため息まじりに白目を剥く。冴島零の正体を説明してやろうと口を開きかけたが――ふと、面白いことを思いついて唇を閉じた。

(こいつら、冴島零の顔も知...

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