第38章 俺は冴島零

冴島零は容赦なく拳を振り抜き、荻原征佑の鼻っ柱を叩き折るようにぶち当てた。

次の瞬間、ぶわっと鼻血が噴き出し、荻原征佑は悲鳴とともに床へ倒れ込む。

「てめぇ……このクソ野郎が! よくも殴りやがったな!」

荻原征佑は手のひらについた血を見て、指先を震わせながら冴島零を指さし、怒鳴り散らした。

「だ、大丈夫ですか!?」

原村美保子がぎょっとして声を上げ、しゃがみ込んで荻原征佑を抱えるように起こす。

一方、脇に立っていた店員は思わず自分の拳を、無意識にふわりと振ってしまった。

さっきからずっと、あの連中の態度が癇に障っていたのだ。――まさか、本当に殴ってくれる客が現れるとは。待ってま...

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