第50章 危険な瞬間

荻原和夏は首を絞められ、そのまま後ろへ引きずられた瞬間、胸の奥がひやりと冷えた。

だが次の瞬間には、すっと冷静になる。

背後の男の握力は強い。骨太で、体格もいい――腕力でねじ伏せるのは分が悪い。なら、抜け出すには頭を使うしかない。

荻原和夏は即座に片手をポケットへ滑り込ませ、スマートフォンの側面を素早く操作した。

次の瞬間――

ウゥゥゥゥ……!

路地裏に、けたたましいパトカーのサイレンが鳴り響いた。

これは荻原和夏がスマホに仕込んでいる防犯プログラムだ。電源ボタンを連続で五回押せば警報音が鳴り、指定した相手へ救援メッセージが自動送信される。

警報が鳴った途端、背後の腕が明らか...

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