第6章 男の楽しみ

冴島零は強引に唇を奪われた瞬間、脳内が真っ白になった。

幼い頃からあの奇妙な病のせいで、女に触れることさえほとんどなかった。なのに今、腕の中の女の熱と鼓動が、生々しく伝わってくる。理解が追いつかない。

「……抑えがきかない」

荻原和夏の意識はどんどん霞んでいく。細い指が冴島零のシャツの中へ滑り込み、硬い胸板、割れた腹筋を確かめるようになぞった。

「待て……ここは……エレベーターだ……」

冴島零は全身の力で引きはがした。だが次の瞬間、荻原和夏はまたタコのように絡みついてくる。

そのタイミングで扉が開いた。

乗り込もうとしたホテルスタッフ数人が、目を見開いて固まる。次いで、全員が口...

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