第112章

 さっきまであんなに穏やかだった母が、どうして急に人が変わったみたいになってしまったのか。

 セレステは反射的にスカートの裾をぎゅっと握りしめ、それ以上何も言えなくなって、ただ不安に怯えながらうつむいた。

 車はスピードを落とすことなく走り続け、やがてコスタ家の荘園へと続く、堂々たる門をくぐる。

 だが敷地に入った途端、セレステは異変を肌で感じ取った。

 静かすぎる。

 いつもなら庭木を剪定したり、落ち葉を掃いたりしている使用人たちの姿が一人もない。

 いるのは、張り詰めた表情をした数人のボディーガードだけで、無言のまま敷地内を巡回していた。

 胸の奥で膨れ上がっていた不安が、...

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