第188章

 追手を食い止めるため、護衛の男は目の前の敵に集中するしかなかった。ルシアンの背後を突かせないためには、そうするしかない。

「ぐっ……」

 ルシアンはくぐもった呻き声を漏らし、どくどくと血が湧き出す傷口を腕で強く押さえつけながら奥歯を噛み締めた。

 そして振り返り、老ヴィトーリを氷のような一瞥で射抜く。

 不意打ちの成功に狂喜し、高笑いを上げていた老ヴィトーリだったが、その鋭い眼光を浴びた瞬間、喉の奥で笑い声を凍りつかせた。

 ほんの一瞬だが、ルシアンから放たれる明確な殺気を、彼は肌で感じ取ったのだ。

 修羅場を幾度も潜り抜けてきた老ヴィトーリでさえも、背筋が粟立つほどの冷酷な瞳...

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