第64章

「ドン……わ、私、めまいが……」

 ヴェロニカは弱々しく声を上げると、ふらりと身体を揺らした。

 まさに休憩室のドアを出ようとしていたルシアンは、その声に猛然と振り返った。そこには、顔面を蒼白にさせ、うつろな瞳で額を押さえながら、今にも倒れそうにしているヴェロニカの姿があった。

 彼は胸をぎゅっと掴まれたような感覚に陥り、矢のように駆け戻ると、彼女が床に崩れ落ちる寸前で両腕を伸ばし、そのか細い身体をしっかりと受け止めた。

「ヴェロニカ!」ルシアンは叫んだ。「どうした? どこか痛むのか?」

「私……私にも、わかりません……」

 ヴェロニカは彼の胸に身を預け、消え入りそうな声で呟いた...

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