第104章

秋の新作発表会――その日が、ついに来た。

菊地杏奈が選んだ日付は、10月12日。

三年前の同じ日、彼女は葉山陸斗と結婚した。だからこそ杏奈は、この日を「過去を葬る日」にし、「未来を始める日」にしたのだ。自分の手で。誰にも奪わせずに。

会場は、都心のグランド ハイアットホテル最上階。宴会場の大きな窓からは、街のスカイラインが一望できる。

杏奈は半月も前から現場に張りついていた。照明、ランウェイ、音楽、モデル、ゲストの席順――細部に至るまで、すべて自分の目で確認し、手で整えた。

大野友菜は呆れたように言った。

「杏奈、あんた……戦う将軍みたいだよ」

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