第587話彼女と彼

「患者さんに、気持ちはわかっていると伝えてくれ。もう彼女の人生は、自分ひとりのものじゃない。くれぐれも身体を大事にするようにとも」

そう言い終えると、ダニエルは身を翻し、その場を後にした。

階下へ降りると、車はすでに下で待機していた。

ダニエルの姿を認めるや、ヨークはすぐさまドアを開けた。

ダニエルが乗り込むと、ヨークは手短に事の次第を報告した。

「マチルダが、どうしてもエミリーを捜しに行くと言い張っています。自分の監視下でエミリーが連れ去られたのだから、その責任を取りたいと。エミリーを見つけ出したあとは、あなたがどんな処分を下しても受け入れるそうです。文句は言わないと」

ヨークの口...

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