第608話人を救うのは危険

男が一人、馬にまたがっていた。そのとき、巨大な赤茶色の牡馬が、何かにひどく驚かされたかのように突如として狂ったように暴れ出した。馬は一気に駆け出し、制御を失ったまま荒々しく走り去る。

騎乗している男は明らかに手綱をさばききれておらず、今にも振り落とされそうだった。

調教師が後を追いながら必死に指示を飛ばしていたが、まるで効果はなかった。

馬場の外には、いつの間にか人だかりができていた。

その中には、おそらく騎手の家族らしき者たちや、自分たちもこれから乗ろうとしていた者たちもいたのだろう。

誰もが息をのみ、喉元までせり上がる不安に胸を締めつけられていた。

馬はますます興奮し、狂乱の度...

ログインして続きを読む