第669話:彼女にとって記憶喪失は良いことでもある

「エミリーがあんなに無私で、優しい人だなんて思いもしなかった」

執行班の隊長は、思わず彼女を褒めた。

エミリーは少し悪戯心が湧いて、眉をつり上げてからかうように言った。「じゃあ、私のことをどんな人だと思ってたの? あなたの目には、私はもう賢くて優しくて可愛いってことで有名だと思ってたんだけど!」

「そうだ、そうだよ。君はずっとそういう人だった。俺の言い方が悪かっただけだ。許してくれ」

隊長はさっきの言葉がまずかったと気づき、慌てて頭を下げた。

エミリーは根に持つ性格ではない。

それに、ただの冗談だったのだ。

彼女はひらりと手を振って、まるで気にしていない様子で受け流した。

隊長...

ログインして続きを読む