第682話彼女はそんなに簡単に許すつもりはなかった

ヘイデンでさえ、裏切られたような痛みを覚えた。「フィン、家にいたときはそんなこと、ひと言も言ってなかったじゃないか」

フィンは少しも気まずそうにしなかった。むしろ、くつくつと笑う。「体面を守ることより、エミリーにいい印象を持ってもらうほうが大事だろ。昔の失敗は取り返さなきゃならない。それに、エミリーの機嫌を直せたら、俺の腕前だって上がるかもしれないしな」

このところ彼の仕事といえば、ほとんどが他人の練習相手だった。

大会にも出るには出る――小さなトーナメントに、あちこちと。だが大きな舞台は? あれは彼よりずっと上手い連中のものだ。

そもそも、彼の実力は替えが利かないというほどでもない。...

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