683話:ほとんど手放すところだった

「エミリー、たぶん前はいろいろ誤解があったんだろうけど、君が俺にしてくれたいいことは全部覚えてる。心配するな――これからは、君が東へ行けと言ったら、俺は絶対に西へは行かない。君の言うことを聞いて、ちゃんと大事にする」

そのやり取りから、フィンはエミリーが記憶を失っているのだと察した。

胸が跳ねた。

もしすべて忘れているのなら、ネットに出回っているあれこれも、所詮は断片だ。よくて半分だけの真実にすぎない。

彼女が記憶喪失のうちにうまく立ち回れば、昔の関係を取り戻せるのではないか――。

フィンの言葉を聞いた瞬間、ヘイデンはこいつが何を考えているのか手に取るように分かった。

内心、顔色を...

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