第684話誠意

「ここで合ってるはず」

エミリーはバーベキュー屋を指さすと、ダニエルの腕をつかんだ――彼は一瞬ためらったように見えた――そのまま店先に並べられたスツールのひとつにどさりと腰を下ろした。

ダニエルが隣に座ろうとした、そのときだった。

「待って!」

ふいに、エミリーの脳裏に何かがひらめいた。

怪訝そうに見つめるダニエルをよそに、彼女は卓上から紙ナプキンを一枚引き抜き、スツールの座面をさっと拭いた。「あなた、潔癖だもの。こういうところ、慣れてないでしょ。でもここ、実はけっこう清潔だし、食材も新鮮なの。店主が手を抜かないから」

記憶を失っているはずの彼女が、どうして食材の鮮度まで分かるのか...

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