第100章

とはいえ、あれはただの小さな出来事にすぎない。今の生徒たちがいちばん気にしているのは、もうすぐやってくる期末テストのほうだ。

 ここ最近、急に冷え込んできたせいで、鈴木結月は登下校を家の運転手に送迎してもらっていた。夜の自習が終わり、下校の時間。高橋悠人が校門まで付き添ってくれたのに、いつも目立つ場所に停まっているはずのベンツが、今日は見当たらない。

 高橋悠人が周囲をひと目見回して言った。

 「運転手さんに電話してみる?」

 鈴木結月は少し迷ってから、小さく答える。

 「ちょっと遅れてるだけだと思うけど……」

 ところが、しばらくもしないうちに、かかってきたのは運転手のほうだっ...

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