第107章

 ここで結月は、「好き」という気持ちがどんなものかを初めてはっきり掴んだ。友だちと一緒にいて、ただ他愛ない話をしているだけなのに、どうしてこんなに楽しいのか――その理由も。

 前の人生でB市にいた頃でさえ、こんな感覚はなかった。

 この街は、もう「知らない場所」でも「どうしていいか分からない場所」でもない。結月にとって、あたたかい場所になっていた。

 夜。鈴木結月が階下へ夕食を食べに行くと、数日ぶりに家へ戻ってきた鈴木慶信と鉢合わせた。年末で会社がいちばん忙しい時期だ。鈴木慶信はパーティーだけでもいくつも顔を出している。

 橋本理子はあれこれと立ち回り、いつにも増して甲斐甲斐しい。

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