第109章

「界人、結月ちゃんのこと知ってるの?」と中村夫人が笑って訊いた。

 中村界人は鈴木結月をまじまじと眺め、面白がるように言う。

「四高の子だよね?」

 鈴木結月は、相手がずっと自分を見ているのに気づいていた。答えないのは失礼だ。でも、必要以上に愛想よくする気にもなれない。結局、こくりと頷くだけで済ませた。

 それでも中村界人は、興味深そうに視線を外さない。

 見かねた中村夫人が、また笑って口を挟む。

「界人、知り合いなの?」

「知ってる知ってる。四高いちの美人だろ?」

 あまりに馴れ馴れしい言い方に、鈴木慶信の眉間がわずかに寄った。年長者の感覚では「学校一の美人」なんて、褒め言...

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