第11章

今日、鈴木結月は――年若い高橋悠人の目の奥に、またあの息が詰まるような重苦しさを見た。

 結月は足元のスリッパをぽいと蹴り飛ばし、ふかふかのベッドに転がって、天井を見つめたままぼんやりする。けれど頭の中を占めるのは、やっぱり前の人生のことばかりだった。

 そういえば、前世で銀行にいた頃も、高橋悠人の噂はやたら多かった。

 家柄がとんでもない――そんなのは言うまでもない。誰もが知っている、周知の事実だ。

 そして、特に広く流れていた話がもうひとつ。

 高橋悠人には、亡くなった「好きな人」がいるらしい。

 相手が誰なのか、誰も知らない。ただ、彼の胸の奥にそういう存在がいる、ということ...

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