第110章

まさか、なんてものじゃない。予想の斜め上――あまりにも意外だった。

 高橋悠人はもともと機嫌がいいほうじゃなかった。こういう場に出るのは昔から好きじゃないのに、高橋紀明が無理やり連れてきたのだ。しかも、祖父の誕生日を祝うために壇上に上がれ、とまで言う。

 ほかの二家は余興を用意している、とか何とか。

 悠人は祖父を心から敬っている。高橋家に来てからずっと、いちばん穏やかに接してくれて、いちばん自分を見てくれた人だからだ。けれど、だからといって、こんなくだらない「見せ物」に付き合う気にはなれない。

 結局みんな、名目をいくつもぶら下げているだけだ。遺産の取り分で一歩でも有利に立ちたい―...

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