第111章

鈴木慶信は笑ってうなずいた。

「そうそう。あの頃、結月はまだ10歳だったな。考えてみりゃ、俺たちも何年も会ってなかった」

だが向かいの高橋悠人に目をやると、少しだけ言いよどむ。さっき確かに、高橋紀明はこの少年の名を呼んでいた。

すると高橋紀明のほうが先に口を開いた。

「高橋悠人です。俺の息子」

鈴木慶信の頭が一気に冴えた。そういえば高橋紀明の事情は、彼も耳にしている。同じ社交界の人間だ。妻の浅子が子どもを産めないから、外にいた隠し子を引き取った――そんな話は、周囲にとっくに知れ渡っていた。

まさか今日、ここで鉢合わせるとは。

とはいえ鈴木慶信も男だ。高橋紀明のやり方は、理解でき...

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