第114章

 さっき鈴木結月が鈴木慶信の後ろについて出てきたとき、彼らと並んで歩いている姿は、たしかに「家族」そのものに見えた。

 鈴木結月はすぐに首を横に振る。

「嫌い」

 そのきっぱりした返事に、井上友里子の表情がようやく少しだけ和らいだ。彼女はそれ以上、何も言わない。

 車に乗り込むと、井上友里子はさっそく仕事に取りかかった。橋本理子みたいに男に寄りかかって生きる女じゃない。自立していて、芯が強く、ひとりで何でも回せる。下手な男よりよほど有能だ。

 ありがたいことに、車内では結月に構っている暇もなかった。

 車は見知らぬマンションの敷地へ入っていく。江都で住んでいたあの部屋ではない。結...

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