第116章

  あまりに羞恥すぎる台詞に、鈴木結月は目を見開いたまま固まってしまい、言い返す言葉すら出てこなかった。

  思わずベッドの上のぬいぐるみの目を指でつまんでいじる。黒いボタンの眼球が、うっかり引きちぎれそうになって、結月は慌てて手を離した。唇をぷくっと膨らませる。

  ――だめだ。こんなふうに、いつまでもビビってられない。

  一言も返せないなんて。

  そうやって無理やり勇気をかき集め、口を開こうとした瞬間だった。

  高橋悠人が低い声で言う。

  「もう寝ろよ。明日、また電話する。……それでいい?」

  もちろん……いいに決まってる。

  なのに通話を切ったあとも、鈴木結...

ログインして続きを読む