第12章

 少年は口の端をつり上げ、にやりと笑った。

「俺のこと、好きなんだ?」

 鈴木結月は白目をむきかけた。確かに顔はいい。けれど、ここまで自意識が過剰だとは思わなかった。

 隣で高橋悠人が、彼女の表情をじっと見ている。唇に浮かんでいた笑みが、少しずつ消えていった。

 結月が、今にも彼から一歩でも遠ざかりたそうな顔をしていたからだ。

 四高では夜の自習が始まっていた。とはいえ通学組もいる。結月はまだ夜自習の申請をしておらず、放課後は家に帰るつもりだった。岡本恵茉に誘われて一緒に校門を出ることになったが、橋本美月と同じ車に乗るところを見られたくない。

 だから、恵茉に付き合ってバス停まで...

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