第128章

冬のコートは袖口が長い。彼はその袖を伝って、そっと彼女の手首をつまむように掴んだ。

指先が少し冷たい。温もりのある肌に触れた途端、なぜだか手を離すのが惜しくなる。

高橋悠人は結月を見た。複雑な目をしている。できるなら、彼女の母親の目の前で奪い返してしまいたかった。

隠してしまう。

そうすれば、離れずに済むのに。

井上友里子は今回はそのまま結月を家まで送った。鈴木結月が車を降りるとき、彼女は落ち着いた声で言う。

「帰ったら早く寝なさい。明日の朝は運転手に、おじいちゃんおばあちゃんのところへ新年の挨拶に連れて行かせる。細かい話は、そのあとでいい」

鈴木結月は小さくうなずいた。

ド...

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