第153章

  ふいに、相手の腰元に差されたナイフが視界に入った。高橋悠人ははっと顔を上げ、中島拓真へ向けて言い放つ。

「土下座だけ? 俺への要求、それだけでいいのか?」

 その一言で、中島拓真の頭の中のスイッチが切り替わったらしい。彼は目を見開き、すぐさま叫ぶ。

「そうだよ。そんな安い罰で済ませるわけねえだろ!」

 中島拓真は腰からもう一本、別のナイフを引き抜くと、通路の真ん中へ放り投げた。金属が床に当たり、乾いた音が響く。

「今すぐ自分で刺せ。血が出るのをこの目で見たい。そうだ、お前が自分で刺すんだよ!」

 高橋悠人は一瞬も迷わず前へ出た。落ちたナイフを拾いに行こうとする。

 警官が咄...

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